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大いなる 螺旋と咆哮の中で 僕は舞う( After side Ⅰ 蘇生

息を荒げ、総裁室にちょちょは駆け込んだ。

「ハルル総司令官!ハルル総司令官!」

ハルルは特に驚いたそぶりも見せず、対応する。

「何ですか?そんなに慌てて・・・」

ちょちょは相当急いできたのか、肩で息をしていた。

「例の・・・行方不明になってた50名のガーディンアズですが、

1名が、保護されました。」

「え!?誰がですか!?」

今度は驚き、立ち上がる。

「ルナさんです。でも、相当やつれてます・・・。」

「ルナさん・・・、よかった。」

安堵のため息をつくハルル。

ハルルにとって、ルナはただの仲間ではない。

1年前、共に大きな戦いに身を投じた親友である。

「今はどこに?」

「コロニーの病棟の一室にいます。

きっと、ルナさんも会いたがってますよ。」

ちょちょもまた、その戦いに参戦していた。

彼女も、ルナの無事に心から喜んでいるようだった。

「分かりました。すぐ行きます。

あ、それと・・・。」

「分かってます、マスコミも騒いでますからね。

後は任せてください!」

ちょちょがニッコリ笑う。

「ありがとう・・・。

では、後は任せます。」

ちょちょに感謝し、ハルルは病棟へ向かった。

機械音が響く室内。

ギンが目がさめると、寝台らしきものの上で仰向けになっていた。

「あ、あれ・・・?」

目を開ける。

天上で光る蛍光灯がまぶしい・・・。

目を擦りながら、体を起き上がらせた。

両手で頬を触ると、確かにそこには感触というものがあった。

「生きてる・・・・・・のか?」

記憶は曖昧だったが。

自分が死んだという事実は、しっかり脳裏に刻み込まれていた。

そして、自分がただの意思の存在だということも。

しかしこの感覚、生きてるとしか思えない。

「起きたか。」

凛とした声が響く。

振り向くと、大きなコンピューターを背に椅子にすわっている、鮮やかな黄緑色の髪をした人間がこちらを見ていた。

白衣にサングラスという、奇抜な格好をしている。

「・・・あんたなのか?

ずっと、おれに語りかけてきてたのは。」

寝台から降りて、その人の真後ろに立つ。

「・・・・キセア。」

「え?」

「キセアと呼んでもらおう。」

「あ、だから・・・。」

改めて質問しようとしたところで、言葉が喉にひっかかった。

よく考えると、あの声がどんな声だかが、よく覚えていなかったからだ。

けど、この声・・・またしても懐かしく感じる。

記憶には無いのに。

「あんたとはどっかで会った事が・・・・ある?」

「なんだその自信のない声は。」

キセアが微笑する。

「記憶にはないけど、感じるんだ。

どこかで、会った事があるって。」

「なるほどね・・・。」

キセアは相変わらず背を向けたまま喋る。

ギンは、さっきから感じる違和感に戸惑い、

自らの不完全な記憶にも苦しんでいた。

「会ったの事はないが、知っているって事だよ。」

そう言って、こちらに向き直った。

「知っている?

だったら、記憶してるはずなのに。」

「いいかい、人間の記憶なんて所詮たいしたものじゃないんだ。

意識しなければ、たいていのことはすぐ忘れる。

意識しても、時がたてば必ず忘れず。」

そう言い、軽く息を吐いた。

「まったく、そんなことを考えるよりも、もっと重要な事を考えてみろ。」

「重要な・・・・こと?」

頭の中の記憶を巡り、探す。

だけど、何を探せばいいのか分からない。

重要、その言葉にすら疑問を感じる。

「君は、なんで死んだんだ?」

「おれは・・・。」

自分の記憶の最果てには、

炎だけしかなかった。

「忘れたの、か?」

キセアの目線が、全身に絡んでくるように感じる。

その冷たい眼光に、少し身震いした。

「な、何を?」

「1年前に、君は業火に包まれ現から去った。

さて、それは一体誰のせいだったか?」

言葉、態度、目線、全てが心の奥底に食い込んでくる。

何かを、掘り出すかのように。

「それは・・・。」

心の底がうずいてくる。

触れられたくない過去に、触れられているように。

知りたくない真実を、知るように。

「全てガーディンズだ。

嘆かわしいことに、

君の最期の戦いは、ガーディンズから始まり、ガーディアンズで終った。」

キセアは、演説するかのように語りかける。

「ただの、内輪もめ。

そんなつまらない事で、君は命を落としたんだ。」

キセアの言葉に、ギンはただ呆然としていた。

「ただの、被害者?」

呆気にとらわれ、、口からでたのは言葉は、

とても空しいものだった。

「そうだ。

君だけではない、たくさんのガーディンズが・・・。

巻き込まれ、利用され、あげくの果てにはその命を無情にも散らされていた。」

キセアの言動がギンの心を舐める。

高ぶる気持は、悲しみと、憎悪だけだった。

「君は使命を与えれた。

散っていった者たちの代表、だ。」

キセアが椅子から立ち上がり、ギンに歩み寄る。

「使命?」

「このままでは、またあの悲劇が永遠に繰り返されてしまう。

だから君は残った。

現と無の狭間に。

愚かなガーディンズを、粛正するために。」

「おれに、何ができるんだ?」

「言わなくても分かるだろ?」

キセアがコンピューターを操作すると、

画面がモニターに切り替わった。

そこには、一人の長身の男が立っていた。

「こいつは?!」

「そう、ガーディンズだ。

やっとここを嗅ぎ付けたみたいだな。

しかし、一人とは・・・立派な勇者様だな。」

キセアの口元が歪む。

「最早ガーディアンズに未来はない。

我々が、新時代を築くんだ。」

そう言うと、ギンに刀を手渡した。

ギンは黙って刀を受け取り、眺める。

見た感じ、普通の日本刀である。

「・・・おれには、わからない。」

刀を握る手が緩む。

その姿を、キセアは哀れむ。

「それもまた、ガーディンズのせいだ。

その憤りを、ぶつけてやれ。」

「・・・・。」

すると、部屋に警報が鳴り響いた。

「また侵入者か!?」

キセアがモニターまた切り替えた。

レーダーマップになり、2つの赤い点が移動していた。

「・・・なるほどね。」

そう言い残すと、キセアは黒い霧にまぎれて消えていってしまった。

ギンがモニターを見る。

一つの点が、こちらに近づいて来ていた。

「意思だけの、存在か。」

少し俯き、刀を落としそうになる。

もう、なにがなんだか分からない。

ただ一つ確かなのは、

何かを守る。

このために、おれは死んだんだ。

なら、その答えを知りたい。

自分が命をかけるほどの相手を、知りたい。

そのために、できることはただ一つ。

戦うこと。

戦っていれば、いつか会える。

そんな気がした。

刀の柄を握りしめる。

すると、刀身が黒くなった。

彼は、再び歩き出した。

その頃、複数のガーディンズが旧Aフォトン発電所を目指していた。

       =NEXT=

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