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大いなる 螺旋と咆哮の中で 僕は舞う( After side Ⅰ 無 

「人って、死ぬとどこへ行くのだろうね・・・。」

アウクソーは、ガーディアンズの集合墓地の一角にいた。

「あたし達は、擬似生命体だけど・・・意思だってあるし、人と変わらないよね・・・?

すると、墓標に供えられている鮮やかな花たちの花弁から、一滴の雫が落ちる。

雫は地面につき、一瞬、波紋の波を生んだ。

「・・・うん、そうだよね。」

思わず、顔がほころぶ。

そう、彼女はいつだって自分と一緒。

燦然と輝く記憶の中で、ずっと存在しつづけるんだ。

「アウクさぁ〜ん!」

遠くからどこかなよった声が聞こえる。

見ると、ユイが花束を片手にこちらに来ていた。

「あ、やっぱりユイちゃんも来たんだ。」

「うん・・・あの日から、今日で丁度1年だからね・・・。」

「もう、1年もたっちゃったったんだ・・・。」

アウクソーもこの1年間、その日を忘れずにはいられなかった。

二人にとってその記憶は、悪夢でありながら、とてもかけがえのない記憶である。

「ねぇ、アウクさん。」

ふいにユイが悲しい表情を見せた。

「・・・なに?」

「コギーさんや、ギンはどこに行ったのかな・・・。」

アウクソーが口ごもる。

「それは・・・あたしでにも分からないや・・・。」

「そりゃ、そうだよね・・・。」

[死]

これほど分からないものは、この世に無いとさえ思える。

「コギーもギンだって、あたし達が忘れない限り、いつだって存在しつづけてると思うよ。

あたし達が生きている今なんて、どんどん過去になって行くんだから。」

「そうだね・・・振り返れば、いつでもそこにいるんだもんね。」

少し、涙腺がうるんだが、なんとか我慢できた。

もう、彼女達は泣かなかった。

大切な人は、いつだって後ろから応援してくれているから。

「じゃ、この後またあのチョコパ食べに行こっか!」

「ええ!?またあそこ行くの!?」

笑い声が響く集合墓地。

ようやく訪れたかにみえた平和だが、まだ問題は山積していた。

「これは、例の[監視者]と繋がりますね・・・。」

ガーディアンズの総裁室、ハルルはちょちょから渡された資料に目を通していた。

「ええ、例の放棄されたAフォトン発電施設です。」

「施設の完全爆破に向かった一小隊が・・・全員行方不明・・・。」

ハルルの眉間にしわがよる。

「最早、あの場所は関係ないと思ってましたが。」

「私も、同意見です。」

資料から目を上げ、凛とした表情をする。

「・・・分かりました、これはまた、彼等に集まってもらうことになりますね。」

そう言ってハルルは、近くの通信機、ビジフォンを起動させた。

周りは、暗闇。

自分の意思は、宙に浮いていた。

ギンは目を開けた。

「あれ・・?」

なんだ・・・ここ?

立ち上がる。

いや、まるで無重力の中にいるように、立っている感覚がしなかった。

何かを思いだそうとするが、思いだせない。

何を思い出していいのかも、分からない。

「・・・。」

両手を見て、自分を確かめる。

何故だ?何故何も思いだせない?

「・・・やっと、お目覚めかい?」

まるで耳に直接吹き込まれるように、見知らぬ声が聞こえた。

「誰だ!?」

周りを見渡すが、誰もいない。

「今の君じゃ、わたしは見えないよ。」

声は、まるでギンを嘲っているようだった。

「君は私の事を誰だと言ったが・・・その質問、そのままそっくり返そう。」

「え?俺の名前?」

「そうだ、覚えているか?本当の名前を?」

「当たり前だろ!俺は・・・。」

・・・・・・・・・言葉が、見つからない。

「・・・あれ?俺は・・・?」

自分の中に、焦りと不安が雪崩のように押し寄せる。

「随分長い事ねむってたからね。無理もない。」

声は、今度は哀れむように言った。

「あ、あんたは知ってるのか?」

ギンが見えもしない相手に叫ぶ。

「知っているが、私の口からは全ては説明できない。」

「・・・どういうことだ?」

「それは・・・。」

声が止まると、ギンの前に小さな穴が空いた。

まるで、時空が歪んでいるかのようだ。

「自分で確かめるといい。」

ギンは、穴をじっと見つめる。

「ここに入れば、全て分かるのか?」

ギンが一歩を踏み出すと・・・

「そうだが、気をつけろ、[全て]だからな・・・。」

「え?」

踏み出した足が、止まる。

「蘇る記憶により、君は悩み、苦しむだろう。それはもう、計りしれないほどにな。」

「蘇るのに、苦しむのか?」

「それもまた、行けば分かる。」

少しの間、その場に立ち尽くす。

「別に、無理に真実を知る必要はない。

真実など、知らない方が良いことばっかりだからな。」

声はあきらめを促すように、

踏み出すのを促していた。

「・・・俺は、行く。」

ギンが、再びその足を踏み出した。

「何も知らないでこんなとこで保うけているのが、何よりも苦痛だからな。」

そい言って、不適に笑って見せる。

「・・・いい答えだ、ギン。」

声の主は、微笑したかに聞こえた。

ギンが穴に触れると、たちまちその中へ吸い込まれて行った。

暗転する視界。

そこら中に重力がかかっている様に、体が軋む。

視界が開けると、そこはガーディアンズコロニーだった。

だが勿論、ギンには分からない。

「ここは?」

たくさんの行き交うコロニー内。

彼は、噴水の広場の中央でただ呆然としていた。

「なんだか、懐かしいな。」

記憶にはないが、心は確かに懐かしいと感じている。

何故だかは・・・勿論分からない。

前から、何やら騒がしい人が来た。

「アウクさ〜ん!早く行かないと売り切れちゃいますよ!」

「ちょっとユイ!あれって売り切れる程人気なの!?」

「ええ!美味しいじゃん!」

二人は笑いながらこちらに走って来てた。

「あれ・・・。」

この二人にも、先程と同じ懐かしさが感じられる。

しかし、記憶には無い。

いや、自分が思い出せないだけか?

ふいに頭が痛くなり、視界が歪んだ。

「 !! ぐっ・・・。」

思わず、頭を抱えた。

二人が、ギンにぶつかりそうな勢いで突っ込んでくる。

「あ・・・、あの!」

話かけようとして、右手をあげた時・・・

二人の体は、ギンの体をスルリとすり抜けた。

ユイの体が、すり抜け、続いてアウクソーも。

二人が通りすぎり瞬間、先とは比べ物にならないほどの頭痛がギンを襲った。

「う、うわぁーーーーーー!!」

脳裏に、様々な出来事が蘇る。

―お前は・・・あの時の―

    ―なんで!?なんで姉ちゃんが!?―

 

  ―生きていれば、いつか会える―

          

           ―過去は変えられないけど、未来なら変えられるはずです―

―行きましょう、彼女のためにも―

            ―俺が、守る―

・・・・・・・・気付くと、先ほどの場所で倒れていた。

自分の体を上を、たくさんの人が通り過ぎる。

踏まれても、痛みはない。

頭は痛かったが、それは記憶は蘇っている事のせいだ。

そして、知ってしまった。

「俺は・・・死んだ?」

最後に、炎に包まれている自分がいた。

「・・・思い出したようだな。」

あの声が聞こえる。

「なんで俺はここにいる?死んだんじゃないのか?」

自分の存在に、疑いを持つなんて・・・。

彼は、ただただ困惑する。

「確かに君は死んだ。しかし君の強い意思が、君を意思だけの存在にした。」

「意思だけの・・・存在?それは存在なのか?」

「君は、死ぬ事によって無に帰すこともなく、現に残る事も無かった。

その狭間に、取り残されたのさ。」

「取り残された?意思が?」

「肉体が朽果てると、その意思は普通は無に帰すものだ。

しかし、その意思の強さにより、稀に意思だけが独り歩きしてしまうのだ。」

「じゃ、じゃあ俺は・・・。」

言い終わらないうちに、声が聞こえる。

「半分死に、半分生きてるっと言った感じか。」

ギンは頭で必死で考えるが、うまく理解できない・・・。

「もう、死ぬことも生きることも出来ないのか?」

悲しい面持ちで、呟く。

「死にたければ、己の意思を押さえ込み、[狭間の門]へ行けばいい・・・。」

「・・・生きるには?」

その場が凍りついた。

自分の存在は、もうそこにはないかのようだった。

「お前は、一度死んだ身でありながら、生を望むのか?」

「 ! それは・・・。」

「自然界のルールに反するというのに、望むのか?」

確かに、それはあっちゃいけない事だと、

彼は頭で理解していた。

「俺は・・・できるなら、もう一度生きたい。

まだ、消える訳にはいかないんだ。」

強い意志を込めて、言い放った。

「・・・君らしい答えだ。

では、目を閉じたまえ。」

ギンは言う通りにする。

そして、意識が遠のいていく。

まるで、夢の中に入って行くようだった・・・。

      

                 =NEXT=
  

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