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「巡りあう者たち」~screenⅩⅢ・決意~

〜惑星モトゥブ・荒地〜

緑は無く、広がるは広大な荒れ果てた茶色の大地。

その過酷な環境の中でもまれてきた原生生物は、他惑星より格段に屈強と言われる。

ごつごつした大地を駆け抜ける二人の影。

「そこ!相手の死角にうまく立つのよ!」

赤髪の白いキャストがユイに激を飛ばす。

「は、はい!」

ユイは目の前から襲ってくる二匹の狼に似た野生の狂獣の上を跳び越えた。

相手を見失った狼は戸惑っている。

「敵の生命エネルギーを突く!」

「はい!」

ユイの手に雷が走り、その手を狼の尻尾のつけねに向かって振った。

すると、狼の尻尾は切り落とされ、そのまま低く唸りながら大地に伏せた。

「ボォルフの生命エネルギー・・・弱点は尻尾・・・。」

ユイの手には、時折電撃が走る、両端に鋭い刃がついた矛が握られていた。

「中々の成長ぶりだね、ユイ。」

赤髪のキャストが笑いかける。

「ありがとうございます!いや、アウクさんのおかげです。

始めはもうてんでダメだったし・・・。」

息を切らしながら、ユイも笑う。

「いや、もとから筋は結構よかったよ。」

「そ、そうですか!?」

ユイが赤面する。

「さぁて、特訓の総仕上げとして…。」

アウクの手が青紫の閃光に煌めくと、両手にレールの長い機関銃が握られていた。

銃口はそれぞれ6口はある。

「実弾回避・・・それか弾いてみな!」

「え!?アウクさん!?」

ユイが戸惑っている間に、アウクソーは跳躍して、逆立の状態のまま銃を乱射した。

「うわぁぁっっ!!」

たまらず横に転がって回避する。

「ほらっ!よけてるだけじゃ終らないよ!」

アウクソー追撃がくる。

ユイは矛の柄の中心を持ち、そのまま回転を与えた。

すると、矛は自ら意思を持ったように高速で回り始めた。

アウクソーの放った弾丸の嵐は、回転する矛から発生する電磁シールドによって弾かれた。

「ひゅぅ。」

「いけぇっ!」

ユイは回転する矛をそのままアウクソーに向かって放った。

アウクソーは打ち落とせないと判断し、体を沈ませて避けた。

矛の刃がアウクソーの赤い髪をかすり、辺りに血のような紅い線が散る。

「へぇ、やるじゃない。」

矛はブーメランの様に戻ってくる。

辺りに砂塵をまきあげながら、どんどんスピードを上げる。

アウクソーは銃のグリップに仕込んだナイフをだした。

「避けるのが得策だけど・・・

それじゃカッコがつかないもんね!!」

刃をクロスに構えて、矛を受け止める。

回転する刃がぶつかり、激しく火花をまきちらす。

「それは、ただのブーメランじゃないですよ・・・。」

ユイが言い終わらないうちに、矛に電撃が走った。

「っつ!」

アウクソーは体にはしったわずかな電撃を敏感に察知して、

かろうじて避けた。

矛は電撃を帯びたままユイのに手に戻ってくる。

それを掴んだ彼女の手には、黒い手袋がはめられていた。

「なるほど、ゴムか。」

アウクソーが姿勢を低く構える。

「負けませんよ・・・。」

ユイも左手を前にかざし、右手で後ろに矛を構える。

すると、どこからか大きな爆音が響いた。

「な!なんだ!?」

「きゃぁ!!」

大地が揺れ、二人は立っていられなくなった。

「砂漠の方からか!?」

アウクソーが爆音の響いた方向に目をやる。

「アウクさん?」

ユイは何も分からず、困惑してる。

「・・・・・。

ごめん、ちょっとみんなのとこ行ってくる。」

そう言うと、アウクソーは足の裏のターボをだして風のごとく一瞬で消え去った。

「あ、あれ?」

ユイは呆気にとられて何もいえなかった。

~惑星モトゥブ・ニシクグ砂漠・封印装置~

「だめか・・・。」

目の前に立ちふさがる、高さ10Mを越える扉をまえにして、イースレイは呟いた。

封印装置のなかは、螺旋階段が延々と続いてるだけのように見えるが、

その頂上にはこの大きな扉が存在する。

「僕の魔法でも、この扉はやぶれないとすると・・・。

やはり、鍵を集めないといけない訳か。」

少しため息をつくと、のぼってきた螺旋階段の中心に飛び降り、

一気に地上に降り立った。

着地は、まったく音がしなかった。

「・・・ん?」

イースレイが外を見ると、クロと見知らぬ男達が何かを話していた。

「おいボウズ、ここは俺達のシマなんだ・・。

気安く荒らされちゃ困るんだよね~。」

長身の、金髪の男が挑発的に喋っている。

「おいコロ、このボウズはただの迷子ちゃんじゃないの?」

「だなベル!ぎゃはははは!!

まったく、さっさとお家にかえりな。」

ベルと呼ばれた黒髪の男は、いかにも盗賊のような格好をしている。

なるほど、こいつら砂漠の盗賊か。

イースレイは相手の危険さを察知したが、そのまま状況を見ていた。

「なめるな!」

クロは小ぶりの剣をだして、コロを睨みつけた。

「おーこわいこわい!

コロちゃん、どうしましょう?」

ベルがふざけた口調で言う。

「ぎゃははは!

そうだな、おいたを働くガキは粛正しないとな。」

コロは刃がボロボロの長い剣をだした。

「どいつもこいつも・・・バカにしやがって・・・。」

クロは怒りのたけをぶつけるように、突進した。

振り下ろした刃は、呆気なくかわされた。

「その程度の腕で、ケンカ買ったのかよ・・・。」

コロの表情が急にひきしまると、クロの剣に向かって一閃した。

元々ひびがはいってたクロの剣は、造作もなく砕けた。

「な!」

あたりに破片が飛び散り、その中にコロは飛び込み、膝蹴りをした。

「ぐっ!」

腹のど真ん中にくらったクロは、倒れたまま起き上がれなくなった。

「ちくしょう・・・。」

悔しさと、痛みで、涙がこぼれる。

砂漠におちる一滴の涙は、あっという間に蒸発した。

彼の戦意も、同じくして。

「ったく、ただの生意気なガキだったのか・・・。」

コロがクロに歩み寄る。

そして、剣を高々と振り上げた。

「最後にひとつ教えてやる。

おれらはこのニシクグ砂漠の最凶の盗賊、「疾風」だ!」

クロは、うなだれたまま何も言わない。

「よ・ろ・し・く。」

「まてっ!」

振り上げたコロの刃に、手裏剣があたり、弾かれる。

「誰だっ・・・・っておま!!」

後ろから黄緑の髪をした女性が歩いてきてた。

「キセア!てっめぇまた俺の邪魔しやがって!」

コロが剣を拾いながら叫んだ。

「お前こそ、この地で殺生をするなと何度言ったら分かるんだ・・・。」

キセアが手裏剣を構える。

「・・・っち。わーたよ、やめりゃいーんだろ、やめりゃー!」

コロはブスっとした表情でキセアの横を通り過ぎる。

「おい待てよコロ!どこ行くんだよ!!」

その後をベルが慌てて追う。

「・・・おい、おまえ。」

キセアがクロを見る。

「二度とここに来るな。」

そう冷たく言い放つと、彼女も踵をかえしていった。

盗賊は去り、辺りに静けさが戻る。

クロは、座り込んだままうなだれてた。

そこに、イースレイが歩み寄る。

「力がないというのは、かわいそうなことだ・・・。」

クロは、何もこたえない。

「・・・強くなりたいか?」

その問いに、彼は頷く。

「自分の口で言いたまえ。」

少しの間の後、頑なに閉じていたクロの口が開く。

「強くなりたい・・・。

今の弱い自分が、許せない。

SEEDでも、何でも、強くなれるなら・・・。」

そう言って、彼は立ち上がった。

彼の脳裏に、はぐれた友達の顔がよぎる。

そして、今まで何もできなかった自分も・・・。

「・・・自分だけじゃなくて、大切なものを守れる力がほしい!」

真っ直ぐ見つめられたイースレイは、

その目力に一瞬圧倒された。

そこに、確かに彼の決意はあった。

「いいだろう。

僕は、イースレイ。」

イースレイはクロに静かに手を差し伸べた。

「そして、ようこそ、Eleven hert へ・・・。」

          =NEXT=

 「巡りあう者たち」~screenⅩⅣ・争奪戦~

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