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「巡りあう者たち」~screenⅧ・Another side~

~惑星モトゥブ・北方大陸:氷原~

雪がちらつく、一面白銀の世界。

自分の歩いた足跡は、最初は鮮明にあるが、ゆっくりと雪に埋もれていく。

まさに、自分の人生の様だ。と、男は呟く。

断崖絶壁に立ち、遥か遠くにまぶしく輝く朝日を見つめた。

日の光は強く、地面に積もる雪はその光を反射する。

後ろを振り向くと、消え行く自分の軌跡。

これからは自分は、何を道しるべとして進めばいいのだろう。

時間はただ過ぎていく・・・。

流れに身を任せて、自分の気持に背を向けて歩いてきた。

「ジロー。」

男の名が呼ばれ、彼は目を上げる。

そこには小柄な女性キャストが、ひっそりと立っていた。

白い吐息は、空気中に溶け込むように消えていく。

「スイ、どうしたんだ?こんな所に?」

ジローは少し驚いた表情を作る。

「あなた、ニューデイズの時以来から全然みんなに顔出してないでしょ。」

問い詰める彼女の蒼い目は、どこか悲しさがある。

「俺は・・・。」

ジローは目線を落とす。

「私とイースの手を借りてまで救われたのが、気に入らなかったの?」

「違う!おれは、今のあいつの考えが納得できないんだ・・・。」

ジローは拳を握り締める。

「どうしたの?ずっと、私たちは力を合わせて戦ってきたじゃない!

少々横暴な手段を使うときもあったけど、それは、私たちが・・」

「分かってる、分かってるんだ・・・・・・。

俺達の目的ぐらい、忘れた訳じゃない。」

「じゃあなんで、今更イースの考えに納得できなくなったの?」

スイと言われた女性は困惑する。

「今までは、憎しみと怒りだけで動いていた。

スイや、イースだってそうだろう?

俺達Eleven hert全員が、目的はそれぞれ違えど、

一つの共通点をもってここまで戦ってきた。

だけど俺は・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・俺は?」

「その目的の意味、達成の形、今考えると、全部納得できない。」

「・・・・私達は、大切な人を取り戻すために、ずっと戦ってきたんじゃないの?」

「それなんだ。」

「え?」

「・・・・スイ、おれはしばらく単独で行動する。」

ジローはポケットから鍵をだした。

「これ、イースに返してくれ。」

そう言うと無造作に鍵をスイに投げつけた。

「え?どうして?」

スイが慌てて受け取る。

「俺の答えは、俺が見つける。」

ジローは背中の剣を抜く。

「・・・・・・そっか。

また、一人だけで行くんだ。」

スイも腰から小ぶりの剣を抜く。

「きっと、また会えるさ。」

「きっとじゃなくて、約束だよ!」

そう言って、お互いは剣を軽く合わせた。

~惑星ニューデイズ・聖地エガム~

森林の奥に、ひっそりと立つ大きな建物。

その建物は教会の様に天上が高く、気味が悪いほど静かだった。

「ずいぶん集まりが悪いな。」

一人のローブ姿の男が大広間の椅子に座っていた。

円をえがくように置かれている11個の椅子。

しかし、そのうち7個は空席である。

「ルナ、ハルルさんは今こちらに向かっているわ。

オルガさんはパルムの・・・レリクスだっけ?」

白い、紫色の髪のキャストが横に座っている赤髪の女性に聞く。

「そう、コギーの言うとおりよ。

問題は、ジローとスイよ。」

「そして、あの人ね。」

「・・・コギー。その人はもう帰ってこないわ。」

「そうね、ごめんニーナ。」

コギーがうなだれる。

「エフェ、君は何か知っているか?」

ローブの男が先ほどから黙っている小柄な女性に問う。

「いえ、ずっとここのお守りだったから・・。

イースこそ、何も分からないの?」

「僕は、ジローの様子が変なのには気付いてたけど・・。

あとは、なにも。」

「そっか。」

口では何も知らないように言ったイースだが、

彼には大体想像が付いていたのかもしれない。

ジローが、これかれどんな事をするのかが。

「ニーナ。」

「ん?何?イース。」

「それに、エフェ、コギーもモトゥブの地底湖へ向かってくれ。」

「え?あそこは調査にいったんじゃ?」

エフェが驚く。

「最近、海賊などが使う裏道があることが分かったんだ。

そして、その道の果てには、鍵があると僕は睨んでる。

実際に、鍵が発したであろう光の目撃者も多い。」

イースが杖振ると、部屋の中心にホログラムがでた。

モトゥブ全体の大きな地図だ。

「ぼくは、封印装置へ行く。」

イースが地図の一点を指した。

その場所が、赤く点滅する。

「イース!?まだ鍵はそろってないでしょう?」

そう、コギーが言うと、

「それなんだが、封印装置ごとに必要な鍵はきまっているらしい。」

「・・・・・・それは?」

ニーナが聞く。

「ぼくの闇、ジローの炎、スイの水・・・おそらくこの3つだ。」

イースが自らの鍵を取り出す。

それは、紫色に不気味に輝いていた。

「ジローとスイと共に、行ってくる。

まず、封印装置1つでは何ができるのか?

そして、他の封印装置の手がかりを。」

イースが鍵を握り締める。

それに反応するように、鍵は淡く光った。

「分かったわ。また、しばらくお別れね。」

ニーナが席を立ち、コートを翻す。

「あ!ニーナ待って!!」

コギーが慌てて後を追う。

「イース、気を付けてね。」

エフェも後を追う。

「ああ、お前もな。」

イースは去る3人を見送ったあと、

ホログラムを消し、スイに連絡をした。

しかし、繋がらない。

電波が届かないようだ。

もちろん、ジローも。

「まったく、どこ行ったんだよ・・。」

イースは軽く舌打ちをして、踵を返した。

彼は、これから無知の世界へ行く。

決して走るスピードは緩めない。

迷いが出たとき、そこで全てが終わってしまうから。

恐れや不安も、もちろんある。

しかし、必ず助けると決めたから。

みんなに、誓ったから。

絶対に止まらない。

自分を信じて、走り続けるだけだ。

イースは懐から写真を取り出した。

「みんな・・・。

待っててくれ。」

彼は、走り出した。

   ~END~

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   ~NEXT~

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